トンネルの番人

トンネルのすぐそばにあるマンション。物件に行く前から期待を膨らませていました。昔の航空写真を見てみると、この土地が歩んできた歴史がわかり、ワクワクしてしまうのです。

この物件が建築される約10年前の1960年代は、周囲はまだ田畑が広がり家はまばらでした。「村岡隧道」が完成した後、高台の周りから開発が進み、かつての田園風景は徐々に住宅街へと姿を変えてきました。

「村岡隧道」には大きさが異なる2本のトンネルがあり、自動車専用だけではなく、歩行者専用の道路もあります。その上には凛々しく佇む一本の大木があり、この場所一帯にユニークな雰囲気が漂います。

白亜のマンションはそのすぐ横でそびえ立っていて、まるで番人のようにトンネルと共に開発の初期から半世紀以上わたり、変わりゆく町の風景を見守ってきました。

建物は逆「コ」の字型に接道していて、高台の際に建っているため、前後の道に高低差があります。5階部分は裏側の高台とつながっていて、裏側の道路からすぐにアクセスできます。建物の中にも階段が2箇所あり、三つのアプローチで部屋まで行けるという一風変わった造りとなっています。トンネルのすぐ横という立地ですが、車の振動や騒音はほとんど感じませんでした。

広さは31.6平米で、間取りは和室二間が続いています。ここを改装すれば、一人暮らしやセカンドハウスにふさわしい空間に生まれ変わるでしょう。

例えば、壁を取り払い、日当たりの良い窓辺にリビングスペースを設け、玄関側は書斎にしてみるのはどうでしょう。

カーテンやスライディングウォールで空間を仕切ってあげれば、カーテンを閉めて集中力を高める環境に、リラックスしたい時は空間を開放して、すっきりと利用できるのではないかと思います。

現状の水まわりは、後付けの洗面台が動線を邪魔しています。より使い勝手の良い空間にするため、バスタブを撤去してレインシャワーを入れ、既存の洗い場にフローリングを敷いて洗面所兼脱衣所にしてみては。コンパクトながら機能的な水まわりとなるでしょう。

JR藤沢駅までは徒歩13分の距離で、都会と海辺をつなぐ4路線の利用が可能です。江ノ電を使えば、海岸線沿いや鎌倉まで足を伸ばすこともでき、ビジネスにも休日のレジャーにも便利な立地。都市の喧騒を忘れ、穏やかな生活を送ることができそうです。