とんびの館

【賃料改定】
とんびのように、逗子の街を眺めて暮らすことができる団地です。海と山を遠望し、眼下には運動公園の野球場が丸見えのこの眺めがあまりにも強烈なインパクト！

バルコニーに出ると、空から逗子を見ているようで、この街を我が物のように見渡すことができます。また夜景も素敵で、街の明かりがキラキラとしていて山の起伏も手伝ってジオラマみたい。そして年に一度のお楽しみ、逗子の花火大会もここから見ることができます。

これほどの眺望なので、改装は控えめに仕上げるのかなと思ったのですが、どうやらやり出すとチャレンジしてみたいことが次々と出てきてしまったようで、細かい部分に情熱と遊び心を感じる改装となっています。最終的にはとんびの館（やかた）っぽくていいなと思いました。

あくまでも眺望を生かすことを最優先にというコンセプトで取り掛かったこの改修。まずは窓です。元々は下半分がくもりガラスの窓でした。そして海から遮るものがないこの眺望は同様に海風もダイレクトにやってきます。このため古いサッシはカタカタとなっていたので、思い切って二重サッシに全交換。これに伴って、給湯器やエアコンの配管ルートも確保。結構これが大工事です。とんびはうまく風と共に空を回遊していて、うらやましくなりますね。

こうして窓からの眺めを確保したら、次は床。渋めの茶色の床は視線が外に向けるように落ち着いたテイストを意識しています。この物件は団地型の築51年の古いマンションなので、床材には下階への配慮をしなければいけないので、遮音材が入ったフローリングを選定。その中でもフカフカ感が少ないものを選び抜きましたが、感覚には個人差があると思うので、気になった方は現地でお確かめください。

ここまでで既にお気づきの方はいるかと思うのですが、結構渋い改修工事にヴォリュームを割いています。これで生活はとても現代的に暮らすことができると思います。

室内は壁紙を丁寧に剥がして、枠の木材や建具、収納棚などは味わいがあるのでいい部分だけ残しています。天井からの垂れ壁も枠だけを残すことで、鳥の館っぽさを感じるのは私だけでしょうか。ちなみにキッチンの壁面には解体して発見された接着剤の跡が何かの模様に見えたので、せっかくなので額装してみようということになったそうです（写真３枚目右）。

収納の襖もアレンジ。一度襖紙を剥がして骨組みを表し背面に木材を貼って建具にしています。枠にポストカードとか色紙をはめ込んだりして楽しんでいただけたらいいと思います。さらに、リビング的な南側の空間と北側7帖の部屋との建具は、収納脇の壁の中に収納できるようになっています。これも館っぽい。

浴室まわりはユニットバスにしてしまうと、洗濯機置き場や洗面台などがギュウギュウに配置されることになるのがこの団地型の難点。そこで今回はいっそのこと、浴室はしっかり在来で作り上げて、洗面台をキッチンと並列させるという計画になっています。なかなか大胆な割り切りかもしれませんが、案外使い勝手がいいのではないかと思います。

浴室はシンプルに綺麗に。水栓金物だけキラリと美しいものを。既存の窓枠を磨き上げて仕上げることで、海外のホテルの様な雰囲気に。洗濯機置き場も明るく使えると思います。タイルが浴室から続いているので一体感のある空間です。

トイレはレトロな雰囲気を残しつつ清潔感があります。古い美術館の端っこにあるトイレみたいで私は好きです。

最後に台所。既存の台所の残像を感じさせつつも、新しくしています。先述した洗面台もこのキッチンと一体にしているので帰宅後やトイレの後にさっと洗うこともできますし、複数人で料理をする時には二層シンクのような使い方もできます。吊り戸棚も既存をアレンジして手元灯や洗面の照明を組み込んだりしています。

団地としては敷地内に小さな公園がいくつもあり、ちょっと歩けば逗子第一運動公園、さらに池子の森の自然公園もあり、田越川の歩道も好きです。ただし、この団地はどこからアプローチしても坂の上にあります。それさえクリアすれば楽しく鳥のような暮らしが待っています。