そらの近く - オフィスライクな区画 -

空を近くに感じる暮らしがしたい。そしてオフィスライクな生活がしたい。ちょっと海外のアパルトマンに暮らす若手デザイナーみたいな。

青空が広がる晴れも、どん雲りの日も、雨の日も。そうした空の変化をもっと日常的に感じられた方が人間らしいと思うんです。

ここは比較的大型で、いわゆる賃貸型ファミリーマンションと呼ばれる集合住宅なのですが、このマンションに新たなプロジェクトが動き出したのが5年ほど前。何度か募集しているこのマンションですが、久しぶりに募集となりました。

今回の募集区画は、この一連の動きのきっかけとなったチームによる設計施工の改装物件です。

まず、このマンションの新しい動きのはじまりはコミュニティルーム。大きなルーフバルコニーがある区画を思いっきりカッコ良く改装しました（写真17〜19枚目）。そこは「そらには」と名付けられ、マンションの入居者向けに計画された共有スペースです。事前に予約をして使用することができますし、ここで開催されるイベントなどにも是非ご参加いただきたい。

ここでは料理教室やライフスタイル系の様々なワークショップ、勉強会など近隣の方々やオーナーさんたちと触れ合うきっかけにもなることをめざして作られました。内装はとびきりカッコ良いリノベーションになっているので、ご自身の室内のインテリアのアイデアにもなるかもしれません。なにより、この「そらには」が好き！という人たちが集まって暮らすことで、このマンションに色が付いてくるのではないでしょうか。

本郷台というエリアは、鎌倉・湘南エリアとのつながりは遠くなく、車があればさっと海に行ける距離です。また、東京湾側へのアクセスも良いので車での買い物も便利。コストコやら横浜ベイサイドのアウトレットパーク、シーパラダイスまで生活圏内。

そして今回募集する区画は1LDK+ワークスペースといった、昨今ニーズが高い空間構成になりました。ワークスペースは元々和室であった部分をリサイズしています。その跡として、床面に異なる材料が入っているのでしょう。結露などで劣化しやすい窓周辺も同じ仕上げになっているので、あまりにも唐突な感じにならずバランスがとれています。

しかし、このバランスはそう簡単な話ではなかったようで。この床に合わせて、似合う壁面の色味を出すのは、やってみると、至難の業であったとか。ギリギリまで手と頭をフル回転させてこの壁が仕上がったそうです。そうして仕上がったこのリビングは少しオフィスライクな感じがして私は好き。

独立したデザイン事務所に遊びに来たような感覚がするのです。思い出すのは、先輩が独立して自宅マンションや都内のマンションの一区画を軽く改装して出来上がった空間みたいな。なんというか憧れるんですよね。「この人、自由を得たな。」って感じがして。

そういう自由を感じる部屋といえば、やっぱり空がきれいに見えるんですよね。都心のど真ん中なのにぽっかり空が見えたり、このマンションのように丘の上にあって視界を遮るものがなかったり。なにか通じるものがあるんでしょうか。

この他、キッチンには可動式のワゴンが仕込んであったり、キッチンパネルはガルバニウムで磁石が効く。コンロは4口でちゃんと料理ができる。実験シンクの洗面台もタイルの脇にコンセントがちゃんと仕込まれていたり、洋室とワークスペースの収納はどちらの部屋からも開閉できたりと、工夫とアイデアがいっぱい。

都心から、まずは暮らしを変えてみる第一歩としてこの物件に暮らし、「そらには」コミュニティで出会う人や物に空間を感じてもらいたいなと思っています。

＊写真は1,4枚目を除き2021年1月撮影のものです