湘南の穏やかなバトン

鵠沼松が岡の閑静な住宅街。ここは古くから要人の別荘や企業の保養所などが佇む湘南の奥座敷として栄えたまちです。天金通りと呼ばれる通りから少し中に入った場所に、この集合住宅はあります。

建物が建築されたのは1997年。当時は企業の社宅として建築されました。その後、日本でリノベーション注目され、広く認識され始めた2011年にこの4棟の建物のリノベーション工事が行われ「リノベーションマンション」として販売されました。

当時としては、まだまだ「リノベーション」という発想やことばが新しかった時代。新築でも単なる中古マンションでもない新しい選択肢としてこの建物は生まれ変わったのです。

コンセプトであった「WA」は、この場所が住人たちの交流によって成熟していく「輪」。周辺の町並みと調和する「和」。そして環境負荷の少ない循環を意味する「環」の３つを表しており、このコンセプトはいま見直してもとても共感でき、当時夢に描いていた未来の光景が、実際に育まれたことを現地に行くと感じることができます。

室内を見てみると、まずゆったりとした間取りが印象的で、いくつかのプランの中からセミオーダーのように組み合わせて選ぶことができたそうです。オーナーは、オープンキッチンを選び、調理しながらリビングと繋がるような配置を選択しています。洋室2部屋については、引戸で必要な時だけ区切るプランとしました。現在はベッドルームとお子さんの部屋として使用しています。

内装の素材に関してもセミオーダーで選ぶことができ、この区画については、床はチークの突板フローリング材、壁天井は白のクロス仕上げとしました。さっぱりとしてシンプルで、インテリアを選ばない内装です。

マンションの1階ですが、専有の庭があり敷地内の中通路を向く位置にある住戸のため、通行人の方の目線が気になるということがなく、ゆったりとした気持ちで過ごすことができる点も好印象です。

建物のリノベーションが行われてから約14年の月日が流れ、リノベーションということばが広く行き渡っている時代に今います。ですが、このマンションはそのことばの本質を私たちに教えてくれる気がします。

表面的に小綺麗にするのではなく、建物の配管などを更新して、長く住むことができるように配慮し、住むひとが新しい価値や魅力を見出せる住まいに生まれ変わらせること。そして、まちとの歩調の合わせ方や住人同士のコミュニケーションに至るまでデザインを考えぬくこと。それは、芯がありつつ穏やかな、湘南の地で感じる心地よさに似ているように思うのです。

ここから、例えばそろそろ更新時期を迎えそうな水まわりの設備を交換したり、床材のメンテナンスをしたり、家族構成に合わせて部屋の間仕切りを検討し直したり…と、上手にバトンを受けとって、これからの未来に向けてさらに自分らしく住みこなしてもらえたら、と思います。


※本物件では、以下の日にちにて予約制内覧会を実施します。
予約制内覧会：2025年7月19日（土）～21日（月祝）の3日間を予定。

※本物件に付属する駐車スペースは小型車のみ駐車可能です。事前にご確認ください。
（幅：約2200mm、高さ：高いところで約1800mm・低いところで約1700mm。前面道路が狭く切り返しが困難で長さのあるお車も駐車が難しいとお考えください）

※室内写真は2021年に撮影したものです。現況を優先します。