こもれる巣

はじめてこのお宅にうかがったとき、包まれるような、安心感のある巣のようなイメージを持ちました。

この家は、躯体にはなるべく金物を使わずに木で組み、室内は竹を格子状に手で編み込んだ“竹小舞”といわれる下地に、土と藁を水でこねて塗った土壁という伝統的な工法で作られた家なのです。

土壁は自然のテクスチャーが美しく、夏の高温多湿の日に行きましたが、調湿作用を肌で実感することができました。それは家の中というよりも蔵の中にいるような感覚でした。

玄関をあがるとほんのり木の香りがして、床の肌触りが柔らかく、とても気持ちがよいのです。窓は断熱サッシを使用しているので冬場の結露も少ないそうです。外観は経年変化が美しい杉板下見張りの外壁、柿渋が塗られ築7年とは思えないほど重厚感があります。

この家の気持ち良さがさらに増しているのは、鎌倉の山々を遮るものなしに眺められる立地です。梶原の住宅地の東端に位置しているので、部屋からは鎌倉中央公園から台峰緑地を見渡せるのです。

ウッドデッキに出ると住宅地の中にあることを忘れてしまうような開放感があります。四季の移り変わりを楽しむことができ、満月の日に山の向こうから昇る月は感動的だそう。ここに椅子を出して飲むビールは格別でしょう。

もし、私が利用するなら、約13帖のリビングは広すぎず狭すぎずちょうどよい大きさと感じました。和室は来客用にしてもいいですね。広い土間ではストーブを囲み会話がはずみそうです。キッチンへはリビングから一段下がっており、無垢材で造作されたオリジナルです。土間に向かって開口があるので、ストーブの上で料理したものをキッチンで受け取ることもできます。

10帖ほどある2階の部屋を主寝室にすれば、大きな窓からの景色や朝日を浴びる生活が実現できます。もうひとつの約5帖の部屋はワークスペースにするのが良さそうです。

周囲は住宅地で、とても静かな環境です。心にも体にも優しい家で、何かに没頭して過ごす「こもれる巣」として利用してみてはいかがでしょうか。

※駐車スペースが軽自動車以下になりますのでご承知おきください。

※内見は4月末からとなります。

※写真は前回募集時（2023年）です。