桜と三角屋根

リズミカルな三角屋根と、寄り添うように桜の木。ようこそ、鎌倉山へ、と誘っているようです。

鎌倉山と言えば、言わずと知れた高級住宅地のイメージですが、鎌倉駅方面からアクセスするには思ったより緑豊かな山道を抜けていきます。その名も「鎌倉山さくら道」。立派な枝ぶりのソメイヨシノが並んでおり、春にはピンク色のトンネルが見られるようです。そんな道沿いの、住宅が多くなり始めるあたりにあるのが、この建物。

どこかヨーロッパの邸宅を思わせる品のあるたたずまい。緑の三角屋根から3つ飛び出した山型の軒。そして、納屋風の下屋にはいい感じに色褪せた木製の大扉。そのまま絵本の1ページになりそうな雰囲気がたっぷり。桜の季節には、緑色の屋根とピンク色がさぞや美しいだろうと想像します。

調べると、イギリスのジョージアンスタイルという様式が近いようで、本家は組積造ですが木造でアレンジされているようです。

その世界観は内装にも徹底されています。木製の梁や作り付けの什器は木の素材感を生かして力強く、壁はコテ跡を残した温かみのある漆喰仕上げで、素朴な印象。

木製建具に鋳鉄製の金具、ハンドルや蝶番に至るまで、世界観を崩さない徹底ぶり。こんな空間では、紅茶は茶葉からティーポットで、スコーンにはやっぱりベリージャムとクロテッドクリームよね、と雰囲気にどっぷりと浸かってみたくなります。

どうせなら、この雰囲気をいかせる用途で使って欲しいもの。間取りとしては、1階にメインの場所になるであろうL型の約22平米の部屋、二槽シンクのある元調理室、大扉のある倉庫。2階は17平米の1室に、ミニキッチンとトイレと一室になったバスルーム。

この倉庫部分が面白く使えるかのキモになる気がしています。例えば、大きなカンバスを置けるアトリエ兼絵画教室にして、他はギャラリーとカフェに。大判の生地を広げて裁断、縫製ができる裁縫室のあるテーラーはどうでしょう。造り付けの棚には、洒落たネクタイや帽子なんかをディスプレイしてみたい。あるいは、倉庫の大扉を解放してお客さんを呼び込み、気の利いたものがあるグロッサリーなんかも、地元の方に愛されそう。

2階は事務所や接客スペースにもできそうですが、少し手を入れてここに住むというのも憧れませんか。

少し現実的な話をすると、市街化調整区域内の建物なので用途の制限があり、原則的には住居兼用の事業用途か、日常生活に必要な物品の小売業等に限られます。さらに細かい条件もあったりするので、ぜひ、ご相談を。観光客がたくさんやってくるエリアではないので、地元の人に愛される場所になってほしいと思います。

かつてはパン屋、その後いつくかの業種へバトンが渡されてきたため、部屋の各所にカスタムされてきた名残が。設備など、用途によっては手を入れる必要があると思うので、対応できるかは現地でご確認いただきたいです。

さて、オプションでワクワク要素があとひとつ。この建物、裏手に駐車スペースという名の空き地があり、駐車場(約8台分)として借りる場合は、庭としての利用ができます。

次にここで始まるのは、どんな物語だろう。桜の季節を心待ちにしながら、ゆっくり考えてみませんか。

※本物件の全ての造作・設備（トイレ・水まわり、空調含む）は残置物となります。現状のままでの引渡しとなります。
※建物裏手の駐車場を契約する場合のみ、契約区画での広場利用の相談可。11,000円（台・月額）8台空き有。現在未整備。