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2008.12.25

馴れ初め。

マサオ(鎌倉R不動産)
 

ついに順番が回ってきた。薄々覚悟はしていたが、いざ書くとなると話は別で、筆が全く進まない。自身の引越遍歴でも書いてゆこうかと、頭の中でぼんやり考えていたら「掲載物件からマサオのリコメンドを抽出してはどうか」とフジイから提案された。
僕らは取材に移る前、物件を全員で審査する。満場一致でGOサインを得た物件しかWEBに掲載しない。つまり、全ての物件に三者三様の思い入れがある訳で、僕は自身の思いを記事にしてゆけばいい。これは文章が下手くそな僕にとって、書き出しのきっかけを掴むには都合が良かった。
理由はもう一つある。WEBにおける記事の場合、誌面のスペースが限られている上、文字表現上の制約があり、取材者が泣く泣く原稿を削り落とす箇所が少なからず存在する。リコメンド=「おススメ」という形をとりながら、そのこぼれ落ちた部分をフォローしていくという狙いだ。
不安要素も無くはない。自身の目線で記事を書くことについて「本当にいい?」とフジイに念を押した。なぜなら・・・・・僕は大抵の場合、エモーショナルな動機で物件に惚れ込み、計算に裏打ちされたものは後に回るか、見なかった事にするケースが多い。実際、泣きを見たこともあった。
果たして記事が皆さんの助力となり得るか、不安を孕んだまま原稿は進む。ご笑読いただければ幸い。そして記事を通して少しでも価値観を共有できることを祈るばかりである。

さて、初回となる今回は片瀬海岸にあるロジュマンについて。
記事でも触れているが、先日不思議な再会を果たした。ここではその事をもう少し詳しく書いこうと思う。

スケートボード漬けだった10代の終り、マサオ青年のホーム・グラウンドは入浸りのサーフショップがある腰越から辻堂にかけての一帯だった。整備されたスケートパークなど無い時代だ。街中に自生するポイントを仲間と車で移動しては「誰かに怒られるまで滑る」というストリート・スタイル。自然と車での行き来も増えていく。通過点の中に片瀬海岸東浜交差点と江ノ島入口交差点があった。
この界隈といえば、まだビュータワーが唯一の高層ビルである。あとは土産屋、射的、スマートボールの店が数軒立ち並び、鄙びた観光地の香りが漂う場所だった。夏は人で賑わうが、オフシーズンの平日ともなれば実に閑散とした場所である。そんな東浜交差点にぽつねんと経つ白亜の建物がロジュマンだった。初めは気にも留めなかったが、ある事を契機に20年思いを募らせることになろうとは、その時考えもしなかった。

その時分、僕は学生をやる傍ら、六本木にある広告制作会社に助手として通っていた。商売柄、会社には資料となる書籍が山程ある。時間があれば貪る様に読んでいたのだが、その中にル・コルビジェの図録が数冊あった。僕はそれまで彼を画家として認識していた。コルビジェが設計した建造物を見たのはその時が初めてだったのだ。守備範囲の広さに感嘆したが、それ以上に驚きを覚えたのは、彼の設計した建造物が現存し、今も人が暮らしているという事実だった。折しも日本ではフランク・ロイド・ライトが設計した帝国ホテル東京が老朽化という名目のもと、全面改装を施されようとしていた。僕の記憶のひだにコルビジェの建造物たちが強烈に刷り込まれた。

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このブログについて

湘南病にすっかり罹ってしまった私フジイは、この地で不動産屋「稲村ガ崎三丁目不動産株式会社(現 鎌倉R不動産株式会社)」を開業。
そして2008年12月15日稲村ヶ崎R不動産(現 鎌倉R不動産)を公開しました。なぜ鎌倉・湘南なのか、僕の体験を通してその理由をお伝えしてまいります。
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著者紹介

藤井健之

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