大いなるヴォイド

【価格変更しました】
建築用語では、抜けた空間のことを「ヴォイド」と言います。そこに広がるのは何に化けるかドキドキするような、大いなるヴォイドだったのです。

若宮大路を1本入った道沿い、ピロティが特徴的な4階建ての白いマンション。小町通りや若宮大路からわずか100メートルほどしか離れていないとは思えない静けさです。

こじんまりした共用部を通ってエレベーターで4階へ。ドアを開けたら、清々しいほどのスケルトン。約127平米の広さの区画全体が、躯体むき出し状態でお出迎え。オフィス利用も考えたくなりますが、規約的に住居専用なので、住む前提でお考えください。

間仕切り壁、キッチンや風呂を含む設備、内装も全て撤去済み。部屋の中に立つと、遮るものは柱とPS(パイプスペース)のみ。長方形を3つ、ずらして組み合わせたような区画の形がワンルームのように感じられるのがとても新鮮。せっかくの空っぽ空間、活かしてみたいじゃないですか。

程よくボトルネックのように細くなっている部分があるので、扉がなくても空間が仕切れそう。風呂トイレ以外は壁を立てず、引戸でオープンにできるようにして、このゆるやかな一体感を楽しんではどうだろうか。

部分的にコンクリート表しの壁を残して、大きな絵画を飾ってみる。PSのブロックはかっこいいので、さらっと塗装するくらいで留めて。キッチンは旧和室の窓前に持ってきても気持ちがよさそう。

窓の位置が限られていてそこまで大きくはないので、光たっぷり、と言う感じではないのです。その分、3ヶ所あるバルコニーがライトコートのようで、明るい部分と暗い部分をあえて極端に作るような構成にしてもいいかも。この広さなので、ファミリーでも、かっこよくリノベーションしてSOHOでも良さそうです。

リノベーションって、まっさらなキャンバスにのびのび描く楽しさではなく、誰かが描いた絵をスクラッチして削ったり上塗りしたり、なんなら穴をあけちゃったり。あるものに対して、こうしたらもっといいじゃん！というコラージュ的な楽しさな気がしています。

築54年なりに、アルミサッシのサビや給排水配管、分電盤の古さなどは目につきます。そのあたりは修繕履歴を見ながらどこまで入れ替える必要があるか、要検討といった感じです。外壁や共用部はおそらく計画的に更新されているのでしょう、とても綺麗でした。

さあ、今はこんな感じです。あなたならこれから、どうします？

※図面は内装撤去前の間取りです。
※用途は住居専用です。事務所等の事業用途に供することは出来ません。