このファサードに輸入住宅のすべてが詰まっている気がします
80年代にできた先進的な住宅が建築された頃を頭の中で遡ると、なんだかとっても楽しい気分になるんですよね。まだバブルが弾けていない頃のきらきら光る時代を感じると言いますか。
そういう時代の意匠はおそらくバブルが弾けたタイミングでサッといなくなってしまったのではないかと思うのです。
そのおかげで徹底的に余計なものを省き、使いやすさとコストに磨きがかかっていく。それだけ聞くと美しいことのように思いますが、それと同様に作りやすいもの、失敗しないもの、大多数の人が賛同してくれるものを量産していく時代へ進んでいってしまったのかもしれません。
私がこの80年代の住宅建築を見て興味深く感じることは、先駆けであった2×4工法の魅力に真剣に取り組んでいると思えることです。それは立面を見て感じる窓や屋根に現れていると思います。
この家は北側の道路に面して横長な家です。この敷地を存分に生かした表情だなと思わせるのは建物中央に窪んだ玄関を中心に左右に縦長の窓を散りばめて、幕板でぎゅっと締めて、屋根にドーマー窓(風)で作られた「これぞ輸入住宅」と言わんばかりの外観です。しかも内部には必要な部屋数を確保して。
さらに内部では玄関&階段吹き抜け。これもまた2×4の家によくみられる空間で、天井から吊るされた照明や絨毯敷きの床に白い壁にかかる絵画は、まるで自分だけのお城にいる様な気分を感じてしまうのです。私は別にお城好きな訳ではないと思っているのですが。でも、いいのです。
こうした空間は現代では設計されることは少なくなってきたのではないでしょうか。吹き抜けは空間がもったいないから収納を。化粧窓はメンテナンスが大変になるからいらない。それも分かる気はします。
けど、家に欲しいものを考えるときにお城みたいな空間を夢みてもいいじゃないですか。いや、実際は作らないかもしれませんけど、設計の打ち合わせをするときに設計者が本気で悩んでくれている感じを共有したいのに、「この中から好きなの選んだください」だけ言われても。プロの提案を聞きたいのに。スケッチとかその場でシャーって書いてくれて、一緒に考えた感じが欲しいのに。
そんなことが80年代にはたくさんできたのではないかって思ってしまうんです。ないものねだりなんですかね。今もあるんですかね。そういう情熱的な設計打ち合わせって。
といった具合で、なんだか悶々としてしまいましたが、この家に残された住宅表現を大切にして、傷んだ部分の補修や設備の交換をして長く付き合っていくもよし。その場合、それなりに使い切った家なので、建物全体改修工事にはなってしまうと思います。
一方で、この記憶をしっかり頭に焼き付けて、建て替えるもよしかと思います。その場合、ここには当時の華やかな時代の夢が詰まった家があったという記憶を受け取ってもらって、夢の続きを描いて欲しい。
東西に長い敷地の形状や隣接する住宅の位置を考えると、建築家好みの土地なのではないかと思っています。光の入り方や川沿い特有な風の道なども考慮して、面白くなりそうな予感がします。
藤沢駅からも人によっては歩ける距離。自転車や江ノ電で2駅など選択肢も多く、海までもそう遠くない。湘南エリアを満喫するにはよい立地だと思います。犬との暮らしでは車があまり来ない川沿いの道を江ノ島まで散歩するなんていうことも、はたまた新林公園でトレッキング散歩なども日常になります。
お気に入り
- 価格
- 4,980万円
- 建物面積
- 109.62㎡
- 管理費
- なし
- 修繕積立金
- なし
- 所在地
- 藤沢市鵠沼藤が谷一丁目
- 交通
- JR東海道本線「藤沢」駅 徒歩19分/江ノ島電鉄線「柳小路」駅 徒歩4分
- 建物構造
- 木造 2階建て
- 所在階
- 築年
- 1983年
- 土地権利
- 所有権
- 敷地面積
- 146.02㎡
- 都市計画
- 市街化区域
- 用途地域
- 第一種低層住居専用地域
- 建蔽率/容積率
- 40%/80%
- その他費用
- 設備
- 公営水道/公共下水/都市ガス
- 備考
- 地目:宅地/施工会社:三井ホーム株式会社/現況:空室/引渡時期:相談/契約不適合責任免責/境界非明示/増築実登記部分あり(1階サンルーム)/鵠沼風致地区
- 取引態様
- 媒介
情報修正日時:2025年5月30日
情報更新予定日:2025年6月17日
※掲載の情報が現状と異なる場合には、現状を優先するものとします。
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