鎌倉R不動産で「地域材を学びながらつかう」ことについてコラムを書くことにしました。何回か連載で書きます。何回続くか決まってませんが、まずは第1回。
私たちにとっての地域材となる“神奈川県産材”たち。 神奈川県南足柄市の足柄峠近くの森へ行ってきました。鎌倉からは、車で1時間ちょっとの場所。ここで間伐された木材を使って、自社物件の改装を予定しており、どうしても事前に現地へ行ってみたくなったのが理由です。
とにかく、行ってよかった。現地で案内していただいた林業家の方々からは、「理想のやり方だと儲からないのだけど」と言われながら、この森を次世代につないでいくことを一番に考えて、どのような森の手入れをするべきなのかを淀みなくずっと話して教えてくれた。
森の近くの製材所では、「最近は変な客ばっかりだよ」と言われていたのだけど、聞けばみんな南足柄の材を使って、この製材所にお願いしたいから集まってきているお客さんたち。そんな”変なお客さんたち”がもう集まってきていることが、私たちはなんだか嬉しかった。
そんなみんなの気持ちも、そしてこの日の天気も、とにかくアツかった1日を数回に分けてレポートします!
案内いただいた森のヒノキの木々 地域材利用の検討
さて、そもそものこの話のきっかけからお話しします。それは、福岡県で木材加工事業等を営んでいる、私たちにとっては兄弟会社となる八女流株式会社と話していたときに、地域材の話になったことがはじまりでした。「地域材の活用」といった類の話は、最近ではネットで調べればいくらでも出てくるのでここでは割愛しますが、そんな話をしていたら八女流から「そういえば、鎌倉R不動産は神奈川県だったら、南足柄にも関連会社がありますよ」と教えてくれたのです。
その会社が、「株式会社あしがら森の会議」でした。鎌倉R不動産は、自社で物件を所有して改装して賃貸する事業もおこなっているのですが、ちょうど改装プランの検討を始めた物件があったところ。八女流からも紹介いただけるし、使用する材の候補として話を聞いておきたいな、くらいな気持ちで、オンラインミーティングを設定いただきました。
「あしがら森の会議」の近くの実際の森 品質が悪いことで知られている?
そしてオンラインミーティングの日。「地域材の活用」や「鎌倉で南足柄の材をつかうことのストーリー」といった話が予定通りに進む中、私たちがある意味グッと惹きつけられる話があがったのです。それが、
「この地域の木材は虫に食われて品質が悪いことで知られているんです・・・」
私たちがただただ勉強不足だけだったのかもしれません。でも、地域でくくって「この地域の木材の品質は悪いです」という話は、私たちの立場では耳にすることがありませんでした。おそらく、私たちが建築でつかう材を選ぶまでの生産・流通の早い段階で、いわゆる適切であるとされる材だけに選別されて、届けられているのでしょう。だから、品質が悪いと言われている材は、私たちの選択肢にすらなかなか入ってくるこはなく、情報も入ってこない、そういうことなんだと思います。
詳しく話を聞いていると、この地域の木材は、原木が売買される市場ではランクの低い原木として取り扱われ、例えばフローリング材などを想定した取引はされないそうなのです。あしがら森の会議は、「虫に食われた跡なども、ある意味その木材の個性として、活用される機会を作っていけるように取り組んでるのですが」と言われてました。
私たちは、建築や不動産仲介の事業をとおして、フローリングやウッドデッキ、室内の内装など、いろんな用途でいろんな木材を見てきました。私たちのお客さんも、こだわりの木を選んでつかわれる方がとても多いんです。それでも、この地域の森の話を聞くと、まだまだ私たちが気付けていないことがたくさんありそうだなと思いました。
だから今回、「じゃあとにかくつかってみるか!」「そして現地にまずは行ってみよう」ということになったのが、このコラムの冒頭に戻った話です。
鎌倉から南足柄の森へ
そして7月頭に、南足柄の森へ行ってきました。「品質が悪いことで知られている?」とは、実際にどういうことなのか。そこでの話は、近日公開の連載第2回に続きます。
実際に間伐をする森の中でたくさんの話を聞く >>第2回へ続く