なんとなくの正体

ずっと前からこの物件が気になっていました。というのも物件概要や室内写真を見る度に「なんとなく」他の物件とは違うものを感じていたのです。いつかその正体を現地で解明したいと思っていたのですが、遂に現地を訪れる機会がやってきました。

まずは外観、コンクリートの基礎にシンプルな金属サイディングで仕上げており、真っ赤な玄関が出迎えてくれます。

そして中に入ってまず目を引いたのは床でした。目に入る床が全て凸凹なのです。触ってみると癖になってしまいそうな木の触感。そう、この物件の床は全面「なぐり加工」が施されているのです。伝統的な数寄屋造りでも見られるこの加工は、木材の表面に道具の痕跡を残し、その凹凸が生む手触りの変化を楽しむことができます。足元から伝わる木の温かみと凸凹が癖になり、気づけば室内を歩き回っていました。

そんな中、ある違和感を覚えるのです。写真をご覧いただくとわかるように「なんだこの壁」と思わず呟いてしまうほど見慣れない壁材。近くでよくみるとそれは構造用合板です。「なぜ合板がむき出しに？」と疑問を抱いたのですが、長く見ていると合板の模様とテクスチャーが壁に表情を与え、次第にむき出しのままでも「あり」だなと感じました。

LDKから見上げると金属製の波板が天井一面に広がっています。最近は店舗の内装として使われることが多いですが、住居の天井として全面的に採用されているのは初めて見ました。しかし、床、壁、天井それぞれが強い個性を持ちながら、相性が良く調和しているのです。ようやくこのあたりで、「なんとなく」の正体が明らかに。

その他の内装もかなり面白いです。まず玄関ドアを開けると段差もなく、いきなり居室なので工夫が必要かもしれません。僕ならラグを敷き、土間の代わりにしてみたいと思います。

キッチンは業務用が設備として備えられています。プロが使用する仕様なので、使い勝手とメンテナンス性は抜群です。この無骨さが内装にマッチしており、このキッチンを導入したオーナーに感謝の気持ちを述べたくなるほどでした。

2階には洋室が2部屋あり、それぞれカウンターデスクが備わっています。また2部屋共に天井高が約3m〜4mあり（部屋によって高さが異なります）、身長184cmの僕でもとても居心地が良い空間でした。廊下にも吹き抜けに面して、カウンターデスクがあるのもポイント。

最寄り駅は東急東横線の大倉山駅。各駅停車のみが停車する駅ですが、隣の菊名や綱島で急行に乗り換えれば、横浜まで約10分、渋谷までは約30分とアクセスも良いです。駅前には大倉山商店街が広がり、個人経営の店舗からチェーン店まで幅広く揃っていて、歩くだけでも楽しめます。

なお、駅から物件までは最短ルートで約150段の階段を上がる必要があります。体力に自信がある方や、これから鍛えたい方にはぴったりかと。

現地で実際に見たり触れてみると、文章では伝えきれない魅力が感じられるはずです。少しでも気になった方は、ぜひ現地でこの空間を体感してみませんか？