山頂に静かに佇む築年不詳の古家
江ノ島電鉄に揺られながら車窓を眺めると、緑豊かな山が次々と姿を現し、その中にポツンと建つ家が目を引きます。「あの家からは、どんな景色が広がっているのだろう?」とつい想像が膨らみます。
そんな立地で居を構えたい方、お待たせしました。今回ご紹介するのは、稲村ヶ崎駅から徒歩7分の山頂に位置する物件。入り口は聖路加幼稚園のさらに奥まった袋小路に位置します。
山頂に位置する1,500平米超えの敷地には、築年不詳の平屋と能楽堂を含む計4棟があると聞き、訪れる時は気合を入れて準備を整えました。過去に山林でズボンを破る苦い経験があったため、今回は慎重に登山靴にトレッキングパンツ、手袋と重装備で臨みました。
現地に着いて地図を見ると、土地が稲村ガ崎三丁目と四丁目の境目にあたる山の端。よく見ると山頂が「ひと」の形をしているように、胴体にあたる尾根部分には建物が並び、両側に伸びる階段がまるで腕のようです。反対側にも階段が続いているとのことでした。
実際登ってみると、杞憂だったことに気づきます。山の土地ながら傾斜部分は階段のみ。緩い勾配の石段は着物でも歩きやすそうで、スニーカーでも十分だったかもしれません。庵の屋号が掲げられた数寄屋門をくぐり抜けると、山の尾根に到着。
尾根部分は北と南でひな壇状の地形になっており、南側がわずかに高くなっています。古家が一列に並ぶこの場所は、かつて日本の伝統芸能を愛する人々が集い、能を楽しむ場所であったそうです。家々の間には庭木が点在し、南側には庭石や石灯籠も見られますが、この数年は自然と共生してきた様子が見受けられます。木々の隙間から谷戸の家々の屋根が見え、もし木々がなければ、隠れていた眺望が広がるでしょう。
建物について、外壁にはツルが絡み、年月を経た風合いを感じさせ、所々傷み部分が見受けられます。改修には構造の見直しが必要な箇所もあり、費用や手間の面でハードルが高い印象です。
南側の平屋と能楽堂は築年不詳ながらも、評価証明によれば昭和7年築、90年以上の歴史を持ちます。これまでに何度か改修が施され、訪れる人々を迎えやすい間取りですが、居住には一部改修が必要です。
改修に加えて、建て替えという選択肢もあります。この土地は接道要件から考えると最大で三棟の建物を建て替えられる可能性があります。一部の建物は解体を検討せざるを得ないかもしれませんが、発生する部材を再利用すれば、新たな建物や空間に歴史を引き継ぐことができるでしょう。かつて人々を結んできたこの土地が、新たな形で次世代へと引き継がれることを願っています。
最後に余談ですが、下山時は反対側の斜面から降りました。幅員は4メートルほどありますが、60cm幅のコンクリートブロックで作られた急な簡易階段が続いています。あまりの怖さに、まるでクライミングをするような姿勢で慎重に降りざるを得ませんでした。ああ、準備万端にしておいてよかった。
江ノ電の線路沿いから振り返ると、建物の屋根が木々の間から見えました。この場所がどのように変わていくのか、想像が膨らみます。
【古家概要 北】
構造:木造セメント瓦葺平屋建
延床面積:37.19㎡
築年:昭和31年
【古家概要 中】
構造:木造スレート葺二階建
延床面積:95.68㎡
築年:平成1年
【古家概要 南】
構造:木造瓦葺平屋建
延床面積:70.24㎡
築年:不詳
【古家概要 付属建物】
構造:木造平屋建
延床面積:28.23㎡
築年:不詳
お気に入り
- 価格
- 6,200万円
- 専有面積
- 管理費
- なし
- 修繕積立金
- なし
- 所在地
- 鎌倉市稲村ガ崎四丁目
- 交通
- 江ノ島電鉄「稲村ヶ崎」駅 徒歩7分
- 建物構造
- 所在階
- 築年
- 不詳年
- 土地権利
- 所有権
- 土地面積
- 1,520.22㎡
- 都市計画
- 市街化区域
- 用途地域
- 第一種低層住居専用地域
- 建蔽率/容積率
- 40%/80%
- その他費用
- 設備
- 上水道/公共下水/プロパンガス
- 備考
- 地目:宅地・山林/引渡時期:相談/現況引渡/登記簿売買/契約不適合責任免責/増築未登記部分あり/土砂災害警戒区域(一部土砂災害特別警戒区域)*既存建物は土砂災害特別警戒区域に含まれておりません/鎌倉市建築指導課に聴取したところ、接道状況が明確であれば、最大3棟の建物が建てられます/埋蔵文化財包蔵地/接道:東約2メートル・42条2項私道(ただし鎌倉市所有)西約4メートル・42条1項2号市道
- 取引態様
- 媒介
情報修正日時:2024年12月5日
情報更新予定日:2025年2月19日
※掲載の情報が現状と異なる場合には、現状を優先するものとします。
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