ジャンクが潜む

一見すると少しくたびれた感じのどこにでもありそうな雑居ビル。でも、じーっと観察していると、そのシンプルな佇まいの中に潜む、少し怪しげな雰囲気が滲み出ていました。

ビルが建つのは下馬の交差点と六地蔵の間。個性的な店が立ち並ぶ由比ヶ浜大通りに面していて、鎌倉駅や御成商店街からもほど近いという、ノーマルに嬉しい立地です。鎌倉駅から長谷寺までを江ノ電に乗らずにそぞろ歩きする観光客も増えてきたし、これからのシーズンは海に行く人たちの通り道にもなりますし。

ただ、個人の勝手な願望としては、住所で検索してもなかなかたどり着かない路地裏のひっそりした場所にこそ建っていて欲しいビルです。そこでは、常にタバコの煙でモクモクしている探偵事務所や、全身ピアス&タトゥーの入った店長がやってるタトゥーショップ、世界各地を渡り歩いて集めた呪術の道具屋、みたいな、いかにも系のテナントが少し危険で怪しい光を放っていて、なぜか見えない引力のように惹きつけられてしまう。くすんだ色のタイルや緑青のアールヌーボーっぽい手すりを見ていると、ついそんな世界観を妄想してしまいました。

もちろん現在入っているのは、妄想のテナントとは違いますが、映画をコンセプトにしたカフェバー、酵素玄米のレストラン、美容室に洋品店とそれぞれが個性的な店となっています。

募集区画は2階のど真ん中。ビルの顔になる区画といってもいいかもしれません。どんな店が入ってくれるのか楽しみなところですが、個人的にはレコード屋なんだけどカセットテープやVHSなんかも扱ってるような雑多な店や、初代ファミコンからピピンアットマークのようなマニアックなゲーム機まで扱うおもちゃ屋、みたいなテナントに入ってもらいたい。そして時々ディグりに行きたい。

我こそはという方お待ちしています。