トライアングルビル

鎌倉駅から海方向へ歩き出し、鎌倉野菜が手に入る「レンバイ」こと、鎌倉市農協連即売所を抜け、線路と滑川が交差するあたりに面白い三角ビルがあります。

何が三角かって、間取図をご覧ください。上から見るとまさに三角形なこの建物。ここは元新聞配達所であり、住み込みの配達員の寮でした。

２階部分は昔、寮になっており、配達員の個室が10部屋ビッシリだったのですが、そこがリノベーションされました。大きなフロアに改装された空間は足元を見れば昔の小分けになっていた歴史を感じ取ることができます。奥に進むと、リバーサイドに位置する窓からの眺めは、遠くに衣張山の緑が見える、鎌倉らしい穏やかな眺め。鎌倉駅徒歩４分でこの眺めが得られるのはありがたい。

１,２階は細切れの仕切りをなくしてスケルトンにし、無骨な空間に仕上がっています。なんだかアイディアはふくらみそうです。

アイデアが膨らむで言いますと、1階の奥には元々配達員さんのための食堂があったのですが、ここには畳コーナーが作られて、無骨な空間に突如現れたホッとする空間となっています。

なお、３階部分は一般賃貸住宅ですので、利用方法については建物オーナーとも話し合いながら決めていく流れとなります。できることならば、鎌倉らしい企業さんに使っていただきたいなと思っています。

地元目線で考えると、逗子駅に向かう電車の車窓からも視認性が高い建物なので、地域の人の目に触れて、面白さが広がっていくようなことは考えられます。そんな地元発の使われ方ができると、オーナーさんも喜んでくれると思います。

秀逸なのは、地下一階へのスロープ。昔は配達員のバイクが吸い込まれるように坂を降りていったそうなのですが、かなり急勾配なのでハードルが高いです。しかしこれをうまく使うアイディアを生み出せたら勝ちと言っていいのではないでしょうか。